部下の仕事ぶりを見てアドバイスをしたのだけれども、なかなか意図が伝わらない、事態が改善しない…。そんな悩みをもったことはありませんか。
部下を育成する際のアドバイス方法として、「コーチング」と「ティーチング」の二つの考え方があります。

どちらか一方が優れているというわけではなく、どちらも場面によって有効に働くときがあり、部下が仕事から学習し、成長していくためには場面や本人の状態を考慮した「コーチング」と「ティーチング」を使い分ける的確なアドバイスが不可欠です。

今回は、「コーチング」と「ティーチング」それぞれの特徴と使い分けるシーンをまとめてみました。

自ら考え行動させる「コーチング」

「スケジュールはどのように立てていく?」「どうすればこの課題は解決できるんだろう?」と問いかけ、質問によって本人自身から答えを引き出させる方法です。
コーチングを実践するうえで大切なのは、答えをこちらが用意するのではなく、あくまで本人の気づきによって答えを引き出すという姿勢を貫くことです。

それはつまり、自立した人材を育成することにつながります。本人の自主的な発想を質問によって引き出し、解決策を導き出させることで、自主的な思考、行動のできる人材を育成することができるようになります。

進むべき方向を教える「ティーチング」

「この資料はこのように作成してください」、「仕事はこのようにすすめてください」と具体的な指示を与えて、次の行動や目指す方向を教える側が提示する方法です。
ティーチングの特徴は、自分で答えを出せずにいる人物に的確な指示を与え、メンバーで共有する正しい方法、方針へと導くことができる点です。

仕事における正しい方法を学び、具体的な指摘によって自分がいまおこなうべきことを理解してそれを改善することで、成果の質を向上させることができます。

本人の習熟度によって使い分けよう

自発的な行動を促したいときはコーチングを重視する

仕事に関して、一通りの方法を覚えた人物に対しては、コーチングを重視して自立した判断が下せるようアドバイスしていきましょう。

こちらからは答えを提示を控え、問題解決のために自ら思考させることによって学習を促すことができます。
しかし、コーチングの注意点として、結果が出せるかどうかが本人の能力次第になりがちなことです。

そのため仕事への理解が不十分で、そもそも答えを導けるほどの習熟度の無い人物にコーチングをおこなっても、混乱させて時間を余計に食ってしまう上、誤った答えを導いてしまうなど逆効果となる可能性もあります。
一通りの仕事の進め方を理解している人物に対しては、答えを引き出すコーチングを重視し、積極的に自分で考えさせて経験を積ませるよう意識しましょう。

仕事のやり方、知識を教えたいときはティーチングを重視する

仕事のやり方や流れを理解していない部分がある人物に対しては、ティーチングを重視して明確な方向性、行動を示してあげましょう。

仕事への理解が不十分な状態で自分から答えを導きだすことは難しいので、こちらから具体的な回答を提示しゴールへと導いていきましょう。

教えてあげるほうが本人の成果にもつながりやすくなりますし、また本人も気づかなかった新しい課題や改善点を指摘することによって、新しい発見を与え、意欲を引き出すことにもつながります。

しかし、あまり過干渉にしすぎて、すべて解決策を提示していては、課題解決のための本人の思考力は一向に養われません。

また、ある程度仕事の流れを理解し、自己判断で動ける人物にとっては、具体的な指示はかえって個人のやり方や発想を抑圧してしまう可能性もあります。
どんな場面はティーチングが必要なのかを考え、本人の習熟度を見ながらコーチングとのバランスを考えていきましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今日は、部下を育成するためにコーチングとティーチングそれぞれの特徴と、使い分けについてお話させていただきました。

他人に何かを教えるということは非常に難しいことではありますが、大切なのは、部下が成長するためにいまどんなものが必要かをその都度見極めようと努力する姿勢をもっておくことです。場面や部下の状態に合わせて、コーチングとティーチングを上手に組み合わせていきましょう。

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