未経験者がプログラミング学習の効果を最大限にするためのポイント
GEEK JOB編集部
データを収集・分析して、人々の健康を増進しようということをミッションに病院や保育の現場へサービスを展開するEMC Healthcare株式会社。エンジニアを務める深澤氏、大竹氏に同社の魅力やエンジニアになった理由などをお伺いしました。
目次
– まずは、御社でどんなサービスを運営しているのか教えていただけますでしょうか?
深澤:
データを収集・分析して、人々の健康を増進しようということをミッションにしています。例えば心電図のIoTセンサーを使って、日頃の健康情報を集めておきます。通常と異なるデータが拾われた際に、病気の可能性があるので、病院に行きましょうというアラートを出すことで健康につなげていくといったものを開発しています。
– その場合どうやってアラートをあげるんですか?
深澤:
いくつか方法があります。一つは個人向けで、スマートフォンのアプリで確認できるもの。もう一つは病院向けで、在宅医療している方や入院中の患者さんにつけて、Webサイトからモニタリングできるようにしています。
– 病院に行けない場合などにいったん測定してもらって、何か異常がありそうだとなった際にはアラートが上がるというイメージでしょうか。
深澤:
そうですね。そういうケースも想定していますね。IoTセンサーのいいところは、簡単につけられるところだと思っています。簡単につけられれば、いつでもどこでもセンシングできます。そうすると、病院に行く前でもいいですし、病院に行ったあと、治療の予後の経過観察もできるようになります。
– 勉強不足で申し訳ないのですが、センシングとは何でしょうか?
深澤:
ここでは、生体に関することなので、人間の体の状態をデータにするのがセンシングの1つの定義になると思います。例えば、毎日体温を測るのも1つのセンシングですし、センサーを付けて、今心電がこうなっていて、心臓が脈打ったというような情報を取るのも1つのセンシングです。
– 毎日データを取っていって異常時を見つけるというイメージでしょうか。
深澤:
センシングはあくまでもデータをとることなので、そのデータから何が見えるのかっていうのは、また次にステージになりますね。
– 次のステージというと、日頃のデータの中で、なんとなく具合が悪そうだというのを本格的に体調が悪くなる前の予兆かもしれないと分析していくということですか?
深澤:
そうですね。過去はそういったサービスをスポーツをやってる個人向けに特化して提供していましたが、現在では医療機器に特化して、病院向けのサービスとしても提供しているので、日頃集まったデータを病院で先生が見るということもできますね。
– ありがとうございます。現在お二人はそれぞれどういう役割なんでしょうか。
深澤:
僕がデータの解析の部分で、疾病スクリーニングのアルゴリズムの作成などをやっています。
大竹さんはインフラですよね。
大竹:
そうですね。センシング周りも含めて、結構幅広くやってます。
– お二人はもともと医療とか、ヘルスケアの分野に興味があったんですか?
深澤:
そうですね…ぶっちゃけるとなかったです(笑)。
– 大竹さんはいかがでしょうか?
大竹:
僕は、ヘルスケアをやりたかったんですよね。
– ヘルスケアのどういうところに興味を持ったんですか?
大竹:
自分がつくったものは世の中にどんな価値が出せるんだって考えたんです。その時に、人の命に携われることをやりたいなと思ったのがきっかけです。
– 素晴らしいですね。
大竹:
教科書通りといえば教科書通りなんですが(笑)。
深澤:
今の僕が言ったことにはできないですか?(笑)。
– ならないですね。(笑)逆になぜヘルスケア分野に興味があったわけではないのに、この会社で技術を使っていこうと思うようになったのですか?
深澤:
改めて考えてはみたんですが、流れでとしか言えないんですよね。
– そうなんですか!どんな流れだったのでしょうか?
深澤:
創業者が元々同じ大学の先輩だったんです。僕が学生だった時に、教授として来ていて、知り合って誘われて気づいたら入社していたという感じです。
– 一緒にやっていく段階で、どこで興味を持ったんですか?
深澤:
ヘルスケア自体にというよりは、データになった時点で1つの信号なので、そこはわりと分離して考えることもできると思っています。
データを扱うのが好きと、分析する対象が好きは分けられるのかなと。もちろんドメイン知識も大事ですし、そこが一致していたら理想ではあるけれども、やってみようというきっかけの段階で必ずしも一致していなければならないという訳ではないと思うようになりましたね。
– むしろデータがいっぱい集まってくるのが楽しいという感じでしょうか。
深澤:
そうですね。
– ありがとうございます。今度はお二人にお聞きするのですが、今インフラエンジニアとしてデータ分析などをされてると思うのですが、その中でやりがいを感じてるところはどんな部分ですか?
大竹:
インフラとはいうものの、今は結構幅広くやらせてもらっているところですかね。具体的にいうと直近まで、保育園の園児の午睡チェックをするシステムを構築させてもらっていました。
– どんなシステムなんでしょうか。
大竹:
乳幼児は昼寝のタイミングで、SIDS(乳幼児突然死症候群)という突然死に至ることがあります。原因は不明ですが、うつぶせに寝かせたときの方がSIDSの発症率が高いということが研究者の調査から分かっています。
その予防の1つとして保育園では午睡中に、5分に1回、園児がどの向きで寝ているかを保育士さんがチェックしなければいけない状況です。
こういった午睡中の業務をサポートするために、乳幼児の寝てる
実際にカメラで撮って機械学習で向きとかを検知しているんですけど、姿勢だけではなく他の健康に関する情報も画像に含まれていると考えられるので、将来的にはそれを使ってより活用していきたいというようなことは考えています。
機械学習以外のところも作っていて、アプリから実際のカメラのところまで、全部携わっているのは結構珍しいし、やりがいになるのではないかと思っています。
– 実際そのシステムの技術としては、アプリ側とカメラ側の設計が必要になりますもんね。
大竹:
そうやってハードウェアもちょっと触ったりすると、かなり幅広いところに携わることになるんですよね。
弊社はハードにめちゃくちゃ強い人たちが多いとは思うんですが。
– そうですよね。デバイスを作ってますもんね。
大竹:
そこの人たちにいろいろアドバイスもらいながら進めている感じです。
– 深澤さんのやりがいはどんな部分でしょうか?
深澤:
これは僕の性格もあると思うのですが、あまりそういうことを考えて生きていない気がしています。例えば平和とかがそうだと思いますが、戦争とは関係ないそもそも平和な国に住んでる人だったら、あまり平和について考えないと思うんですよね。そんな感じです。
ということは日々やっていることに既にやりがいを感じているということになるのかもしれませんが。例えば日々コードを書いてる中で、これはこういう分析をするはずだから、こういう拡張が可能なようにコードを書いたほうがいいなと考えて、実装したらめっちゃ便利になっていた、みたいなことがあると楽しいと思いますね。
– 本当にこれは技術者としてという感じですね。もともとプログラミングは好きだったんですか?
深澤:
好きな方だったと思います。大学で学んでいた時の研究室は、そんなにコードバリバリ書こう!という感じではなかったのですが、個人的にかなりやっていたほうだと思います。
– 何でエンジニアを目指そうと思ったんですか?
深澤:
エンジニアを目指そうと思ったことはないんですけどね。気づいたらなってました。(笑)
– 職種としてエンジニアを目指してたというよりは、好きなことをやってたら仕事がエンジニアだったみたいな感じなんですか?
深澤:
確かにそうかもしれませんね。もともとは社会学が好きだったのですが、社会学の理論は経済学がベースになっていると知って経済学を始め、経済学の理論は統計学や数学に裏打ちされていると知って、今に行き着いたという感じです。ただ、数学ってちゃんと学ぼうとすると時間がかかるので、今もそこにスタックして継続しているイメージなんですよね。
– いろいろ突き詰めていったら、結果としてプログラミングや数学のところに長くいるっていうことですね?
深澤:
はい。面白いなと思ったことが仕事に繋がったということですね。
– 大竹さんはどうですかね。
大竹:
僕は、大学入学前に決めていました。
深澤:
すごいですね。
大竹:
結構波乱万丈で…実は親が倒産を2回くらいした時期に高校卒業で、大学入学どうしましょうかみたいなタイミングでした。そうなるとやっぱり将来が不安になり、手に職つけて、どんな状況でも生きれる状況になりたいなと思った時に、時代的にもエンジニアかなと。
– 仮に就職した会社が倒産したとしても、手に職があれば生きられるんじゃないかと考えたわけですね。
大竹:
そうです。今この瞬間につぶれたとしても、何とかなるようにしたいと思いました。
– そんなお二人が考えるEMC Healthcareで働く魅力ってどんなところだと思いますか?
深澤:
働きやすさはすごいあると思います。
大竹:
そうですね。僕は子どもがいるんですが、子供が熱出したりしても皆さんの理解がすごくあるなと感じます。リモートでも仕事ができますし、通勤時間の分早めにお迎えに行けることもあって、ちゃんと家庭を大切にする文化があるので、すごく働きやすいです。
– それはいいですね。健康にも気をつけているんじゃないかという勝手なイメージがあるのですが、実際自社のサービスを使って健康チェックしたりすることもあるんですか?
深澤:
一時期はしてましたね。健康状態を知るっていうのもありますが、仕事をする時に、何のためにコードを書いているのかみたいなのが分からなくなると、かなり苦痛だと思うんですね。
もちろんただコードを書くのが好きな方もいるとは思うのですが…このコードが書けたら、社会にこういう影響があって、そのためのこの機能を実装するためにやっているんだというのが、自社サービスを使うことで実感できるんじゃないかと考えてます。
その点もいい環境ですね。
– 大きい会社だと、開発とビジネスが離れていることが多いですもんね。
深澤:
システムの全体像も分からないまま、一機能のためにコードをただ書いているみたいな感じですね。
大竹:
過去そういったことを経験していて、ただ自分がこれからどうしたいとか、ビジネス的にこうしたほうがいいということから考えられるシステム作りをしたかったので、EMC Healthcareでは楽しく仕事できていますね。
– 確かにつくってどうなったのかとかもなかなか分からないというのは、辛いですよね。とはいえ、ビジネスサイドのメンバーももちろんいらっしゃると思うんですけど、エンジニアとビジネスサイドのメンバーの距離感はどうなんでしょうか?
深澤:
エンジニアとビジネスサイドですか?隣に座ってますよ。
大竹:
距離的にもとても近い。(笑)
深澤:
話すことも多いですね。人数も少ないので、かなり近いと思います。
– たまに隣で電話されると嫌だみたいなのを聞きますけど、その辺はあまり気にしないですか?
深澤:
そうですね。僕はあまり気にならないですが、気になるなら、イヤホンで音楽聞きながらコード書けばいいと思ってます。
– エンジニアの方は全部で何人くらいいらっしゃるんですか?
深澤:
そもそも会社自体が10人ちょっとくらいしかいないんですけれども…半分の5人くらいはエンジニアですね。
– エンジニアのチームって、わりと一塊になっているんでしょうか。それともプロジェクトごとに分かれているのでしょうか。
深澤:
プロジェクトごとに分かれています。
大竹:
そうですね。プロジェクトごとにエンジニア1人といった形です。
– リードエンジニア1人で開発全体を回しているという感じなんですね。
深澤:
そうですね。
– 確かに先ほどの大竹さんのお話でも、ハードからソフトウェア、アプリまで全部やっててるとのことでしたもんね。そんな感じで全部携われるのは楽しいですよね。 ちなみに、メンバーの雰囲気はどんな感じなのですか?
深澤:
結構話しかけやすいと思いますね。僕はお酒飲めないですが、中にはエンジニア同士で飲みにいったりもしています。
大竹:
たまに、イベントとかもやってますよね。
深澤:
バク転教室とか。結局数時間でバク転ができるようにはなりませんでしたが。(笑)
– そうなんですね。(笑)お二人から見て、エンジニアに向いている人って、どんな人だと思いますか?
深澤:
自分で調べる人じゃないでしょうか。自分で調べるってことは、自分の力で何かやってやろうみたいな精神を持っているということだと思います。
自分がこれをしたからこう便利になったといったプライドではないですが、そういう意識みたいなのを持ってる人は向いていると思いますね。
– 自分が解決してやろうという信念がある人ですね?
深澤:
そうですね。例えば、もう世界中にコードなんて大量にあふれていて、それを使えばいいだけということもありますが、それをあえて自分で同じようなものを書きたいという精神ですね。
なぜかというと、自分で書いたという自信がつきますし、それがどんどん蓄積されていって、長期的に見るとコーディングスキルも身につくので良いと思います。
– 新しいコードを生み出す可能性もありますもんね。大竹さんは、どんな人が向いてると思いますか?
大竹:
深澤さんがいい答えだったから、答えづらいですね(笑)。システムじゃなくても、構造をちゃんと理解したいなという人はエンジニアに向いてると思います。
昔と違ってかなり簡単にコードも書けるようになってきて、言語も上位になってきたので、その裏でどんな構造で動いてるかを理解したいと思う人ですね。
− それを踏まえて、どんな人と一緒に働きたいと思いますか?
深澤:
僕よりすごい人です。
大竹:
どうすごい人ですか?
深澤:
特定の分野というわけではないですが、何か1つでも僕より優れてるところがあれば、もうその人は尊敬に値しますね。
– 結構幅広いですね。
深澤:
めちゃくちゃ広いですね。
– それは技術とかじゃなくてもっていうことですよね。
深澤:
そうですね。例えば営業スキルもそうですし、僕はコミュニケーション能力がかなり低いと思っているので、商談を取ってくるって絶対無理なんですよ。
でもそれができる人って、こういうときはこうするって知識を持っていて、その上で行動して実際に成功させているのだから本当にすごいと思います。
– そういう人をちゃんと尊敬し合える文化というのはすごくいいですね。大竹さんは、どんな人と一緒に働きたいと思いますか?
大竹:
僕も同じような感じですが、自分が持ってない能力を持っている人ですね。一緒に働いていて、いろんな能力を吸収したいという願望があるので、自分が持ってないすごい能力を持ってる人と働いて、自分も成長したいです。
– これからエンジニアを目指そうとか、プログラミングを勉強してみようという人にアドバイスをお願いします!
深澤:
新しいフレームワークやパッケージが出てきた時に、それが何をするためのものなのかと、どう実装しているのかの2つを意識して、ものを見て行くというのが大事だと思います。
– プログラミングをやっていなかったり、ちょっとしかやったことないくらいでも、新しい情報をちゃんと吸収していたほうがいいということでしょうか?
深澤:
というよりは、情報の整理の仕方みたいなことです。もちろん新しい情報を吸収するのは大事なんですけど、吸収するのは前提として、その上で整理の仕方として、「何のために」と「どうやって実現したのか」という2点に分けながら、情報をストックしていくのが、実際の仕事に繋がっていくんだと考えています。
新しいものを見たときに、これは何に使えるんだろうかみたいなのを自分で考えていくと、実装したくなるものなんですが、それがまだどこにアップされてないとなると、自分で書こうというモチベーションに繋がります。
そして自分で書こうとなった段階で、どうやって実現してるのかで集めた知識が生きてくるということですね。
– 書きたくなるというのは、そうかもしれないですね。この考えが思いついてるの、自分しかいないかもしれないってなったら、やってみようかなっていう気持ちになりますね。
深澤:
果たしてそれを僕がちゃんと実践できてるのかっていうのは怪しいところではありますが、考え方としてはそうじゃないかなと思います。
– なるほど。大竹さんはどうでしょうか。
大竹:
僕も実際に作るのがいいかなと思っています。とりあえず動くものをミニマムでどんどんつくっていくという積み重ねが大事ですね。すごく簡単なものを小さくたくさん作っていくのが楽しくなっていくと思うので。
– 分かりました。今回はありがとうございました!