「ビジネス視点を持って開発する」株式会社ビーグリー 橋口 誠氏、川野 晋慈氏
GEEK JOB編集部
テクノプロ・デザイン社のベテランエンジニア楠本氏と岡田氏から、当社の魅力、実際未経験者を受け入れる現場のリアルについてお話を伺ってきました
– まず、楠本さんから簡単な自己紹介とざっくりとしたご経歴をお伺いできればと思います。
楠本:若干言いにくいんですけれども、当年61歳のおじさんでございます(笑)
経歴としては、ずっと零細企業を渡り歩いてきたのですが、約2年半前に会社がM&Aするということで一部上場企業のテクノプロにポンと飛び込んできました。
今後のキャリアについては、この年齢になってもあとまだ10年は輝きたい。ただ、変化の早いこの時代に技術者として新しい技術を自分に上に積み重ねていくことは厳しいと感じ始めているので、ちょっと路線を変更してビジネススキルを高めて仕事に取り入れていきたいなと考えています。そのため、昨年の9月からMBAを取りにビジネススクールに入学しました。今、大学院でしゃかりき学び中です。
ゆくゆくは会社の技術者たちにビジネスマインドをガンガン入れていこうと企んでいます!
– まだまだ現役で行くぞと伝わりました!では、岡田さんの自己紹介とご経歴についてお願いします
岡田:現在31歳の社会人8年目です。
情報系の大学院を卒業して、1社目の会社では自動車関係の量産開発などをやっていました。テクノプロに入社した経緯は楠本さんと同じで、新卒で入った会社がそのままテクノプロにM&Aして入社しました。
テクノプロに入ってからも以前と同じような仕事はしつつ、加えて先行開発を行ったりもしています。会社が変わっても結局のところやっている仕事はほとんど変わらなかったので、確かに環境は変わりましたが大きく仕事面では変化はありませんでしたね。
– お二人とも会社統合によってデザイン社様に入られたということですが、不安はありませんでしたか?
楠本:そうですね、自分たちは恵まれたと思っています。
今いる我々の車載開発センター名古屋事業所は、前の会社の全組織メンバーがそのまままるっといる部署で、一つの独立した組織として形を持続させて頂いたんです。みんなが散り散りバラバラになって色んな組織にばらけていることがなかった。だから、今までの風土文化がそのまま持続ができている。私たちの仕事人生、環境がどう変わるかという不安が払拭されて、この大きな組織の中で暴れていいんだと思わせてくれました。これは幸せなことだよねと仲間と話しています。
あと、法的な世界に関してはかなり整備されている。
先ほどあと10年は活躍したいと話しましたが、普通の会社だと定年で終わりねみたいな話もあると思うんです。でも、ここでは継続雇用を希望すれば道がある。雇用を続けていく上では完備されている会社なので、そこは良かったと思います。
– 岡田さんはいかがですか?仕事面ではあまり変化は感じていないとおっしゃっていましたが、組織が変わったことによって良かったことは?
岡田:仕事の幅が広がったなというところはすごく感じています。
今までやはり小さい会社だったのでうちに来る仕事って結構小さめと言うか、代わり映えのないような仕事が多かったんです。それに対して今はすごく大きな企業になり、愛知県に限らず探せば全国から仕事を探せると言う規模感に変わりました。仕事を選べるという点に関しては非常にすごくいい環境になったなと感じています。
– 今、お二人は名古屋事業所にいらっしゃいますが、GEEKJOB卒業生の倉田さん・中村さんがいる部署ですよね。未経験の2人が来ると聞いたときはどう思いましたか?
楠本:倉田、中村の時はいきなり話が舞い込んできたんですが、安心材料が2つありました。
1つは副部長が「ポテンシャル採用した中の優秀なナンバー1ナンバー2を見つけてきたよ」と言っていたこと。
もう1つは実際に研修内容の報告書を見せてもらったらかなり密度の高いものを書いていて期待が持てたこと。
本当にこの人たち非技術系?情報系出身じゃないのかという印象を受けるものでした。そこからスタートだったので、これは行けるなという感覚の中スタートしましたね。
– 現場の受け入れ体制はどのようなものなのでしょう?
岡田:現場では僕が中村を担当していました。
元々の情報として先ほど楠本さんがおっしゃられていた情報はありつつ、あとは未経験者であるということは聞いていたので、入社してからはとりあえずはすぐ業務にはしないでおこうと。
GEEK JOBではJavaを習ってきたという話を聞いていたので、それに近い言語でちょっと試しに課題をやってもらったりしていましたね。ただ課題を出すだけではOJTの旨味がないので、仕事に結びつきやすいようなフローを考えて、その流れの中で業務に入っていってもらおうと動いていました。
– 未経験者を現場を入れる時に気をつけていることがあれば教えてください。
楠本:中村がいる部隊はコンピューターサイエンスとエンジニアリングをブイブイ言わせるところで、未経験者にとってはハードルが高いんですよね。だからよりきめ細やかなランディングプログラムの中で一緒に走ってきてもらうというのを意識しています。
倉田が入ったところはどちらかと言うとニッチな専門知識というより理解力、思考力というところが必要になってくるんですが、そこは本人が最初から、「この子何者よ」というくらい威力を発揮してくれて。基本的にモチベーションが高いし、理解力が高い。だから未経験だから特別サポートするというより、本人の能力を伸ばせるような仕事の振り方という部分に配慮したぐらいですね。
少し話はそれますが、以前、二人が配属されてきた時にこう話しました。
「君たちは異業種から入ってきた。これをデメリットと思っているだろう、違う、これはアドバンテージだ。非情報系だというのは君らの強みになる。だからよろしくね」と。
後に話すかもしれませんが、エンジニアにとって大切なのはコーディングスキルの高さだけではないですからね。
– GEEK JOBから入社したお二人について、入社から2年経ちましたが活躍ぶりはいかがですか?
岡田:中村についてはエンジニアリングとコンピューターサイエンス領域という狭い領域になるので、目立つような活躍!とまではなかなかいかないのですが、その中でも中村ができる範囲の仕事に関してはとても活躍して満足のいくアウトプットを出してくれているなと感じています。
– 倉田さんの方はどうでしょうか。
楠本:頑張っていますよ。
少し前にお客様からオファーを頂いて彼には半年間ぐらい派遣で従事してもらったんです。お客様が倉田が欲しい、倉田だったら頼みたいと言ってくれて、どうする?と聞いたら、「じゃあ僕行きます」と。そしてお客様先で揉まれてきた彼の感想は、「僕まだまだです」でした。何がまだまだなんだ?と聞いたら、「お客様のニーズに応えるだけの技術力が僕にはやっぱりまだついていないです。だから学んでいきたいです」と。
自分の足らないことも認識しつつ今も歩んで行ってくれている、そんな状況です。
確かに、技術力はまだまだかもしれない。でも彼はロジカルな思考がきちんとできてアウトプットを確実に出していたからお客様はオファーをくれたんです。これはGEEK JOBでの経験や彼の今までの生き様が仕事の土台にあるからこそだと思いますよ。
エンジニアはスキルだけでなく思考力や人間力も求められる仕事ですからね。
– 実力をつけたいというところでいうと、倉田さん、将来的には本当に楠本さんになりたいですと言っていたんです。知見の広さと圧倒的な技術、楠本さんが考えてキャリアを積んできた部分に対してすごくリスペクトしていました。
楠本:こんなおじさんじゃと思うけれどなぁ。喜んでいいのかな。
– 今度ご飯でも連れて行ってあげて頂ければと(笑)
– 話は少し戻りますが、未経験として入ってくる人にどんな期待値を持って仕事を任せていらっしゃるんでしょうか。
楠本:GEEK JOBさんにこう言っていいのかなと思いつつ、大切なのはコードが書けるということよりも思考力だと思っています。
こういう業界を知って、その先にそんな仕事があって、そのために必要な知識を吸収していこうとする思考力。その結果としてコードを書ける必要が出てくるというイメージです。
特に岡田のところはコンピュータサイエンスの色が強く、コードスキル以外に工学やエンジニアリングについての知識が必要になります。情報工学そのものが産業に対してどうインパクトがあるのかという思考も必要で、そうなってくると違う分野のことを知ってから情報工学に取り組むというアプローチの仕方も有利にも働きますよね。
だから、コードスキルが高い低いという見方ではなく、高い思考力を持って仕事をしていって欲しい。そこに期待が大きいです。
岡田:期待値という点では先ほど楠本さんがおっしゃられていたのと僕も同じ気持ちです。
そもそもコードを書けるということ自体はそんなに重要視していません。コード自体、ツールでしかないので。それを使ってどうやって何を作っていくのかを考えれることが大切ですね。
あとは何か問題が起きた時にその問題に対してどう対処していけばいいのかを考えられるとか。
結局のところ思考力を持っていれば、どんなツールであれ結局使いこなせてしまうのかなとも思います。うちに限らずどんな業界でも結局やっていけるかなと感じていますね。
– 思考力が大切というお話でしたが、実際にお二人はどんなことを意識されているんですか?
岡田:全体を見てスタート地点からゴールまでを俯瞰した時に、どういうルートを辿っていけばいいのかなみたいな事を一つ一つ積み立てて進んでいけるような考え方を意識しています。ある種、論理的思考というのがそういったものに近いのかなと思うんですけれども。
ただそれを積み上げる上でもやはりゴールというものが自分の中で見えていないと結局ずれていってしまう。最終的にたどり着いたところが全く別のゴールだったら意味が全くない。だから、要所要所で今自分がゴールとどれだけずれているのかというのを客観的に考えられる能力も大切ですね。
あとは自分を客観的に見た時に、できないなと思ったら人に頼ることができるか。意外と人をどう頼るかを考えられるのは大事だと思います。
– その思考力はどのように身につけていったのですか?
岡田:元々の思考のクセもあるのかもしれないですけれども、見本になる先輩がいたというのが大きいかな。
僕も入社してから楠本さんの下でよく働くことがありまして。楠本さんの働き方みたいなものを近くで見る機会がたくさんあったから、仕事でどういうふうに考えていけばいいのかみたいな例が身近にあったんですよね。それを見てこういう風に考えればいいんだと気づきになったというか。そういう体験が積み重なって今この思考に至ったイメージです。
楠本:思考パターンを伝えていくというのは大事かもしれません。
少し脱線しますが、リーダー達に仕事をSTP分析しろと私は最近言い出しているんです。そんなのは聞いたことがないと言われるけれども、とにかく大切なのは考え方、観点、視座を変えて行動に移すこと。これをスムーズに動ける人という人は思考力が高まると思うんです。
慣れない人にとっては抵抗を感じる人もいるでしょう。
実際岡田も1年生2年生の時にギャーギャー言っていましたけれども(笑)でもやはり彼は修士研究で仮説立証のプロセスを経てゴールを目指すんだということをしっかり学んできているので、すぐに理解して視点を切り替えていけたのかなと思います。
思考の仕方を知らないようであれば、上司なり先輩なりがその考え方というのをまずは教える。その上で日々の現場でしっかりと実践していってPDCAを回していくというのが一番身になると信じてやってますね。
会社で働くということについてもそう。
新卒には会社で働くことの意味を俯瞰的に見ようと話しています。俺たちチームで仕事をするんだ、なぜ組織に群れを成しているんだ。一人だけで勝てないから群れを成しているんだよ。そこで金銭的報酬をもらう責任を果たす、組織に対して果たすんだ。その中の自分の位置づけを捉えようねと。
ただ漠然と働くよりも、ものの見方の幅を増やしていけば、その人の持っている能力が想像以上に成長してくれるという期待値を持っています。
– 成長という側面でいうと、自分で質問していくことがすごく大事とは言われますが、とはいえ先輩ちょっと忙しそうだな、今声かけていいのかなと思ってしまうことも多いと聞きます。その点について何か工夫されていることはありますか?
岡田:自分の場合、そもそも質問する場を毎日設けて、中村さんが配属した日から毎日進捗確認会をやっています。
この時間は一緒にミーティングして質問を挙げられるようにしていて、そもそも質問しにくい状況を作らないように心がけています。ちゃんと時間を設けてその子のための時間だよという時間を区切っています。
楠本:私は思いっきり反省しなくてはいけないと思います。
もう言うだけ大将で心理的安全性が大切ですと言いながらめっちゃ近寄りがたいじゃないかと多分みんな思っているだろうと(笑)
でも、一方で目的は質問することではないと思っていて。このシステムを実現するためや、他者に貢献するためにはこの問題を解決しなくてはいけない、そのためには楠本に質問しに行くんだという考え方を持てているかどうかかなと思います。
あとは質問できない原因として、質問したいところ、分からないところが分からないというものあるかもしれませんね
– ありがちですね、初心者だと。
楠本:どう質問していいかわからない、だから黙っていよう。このロジックに、このサイクルに陥らないように最初に設定をすることはちょっと心がけています。
例えば専門用語だらけで何を言っているんだか全然文章が読めませんと言って、用語でハマって脱落しかける人たち。実は用語ではないんですよ。日本語を論理的に分析で読めていない。どこが主語で、どこが述語で、未知数はどこで、この文章は何を言っているのか。
ちゃんとリーディングできれば、後は未知数を埋めていけば、この文章はこういうことだから何を聞こうという、ここのロジカルさが大切なんだよということを最初に伝えています。
– 小中学校、高校ぐらいまでやっている国語力、読解力というのがエンジニアの職業では活きてくるんですね
楠本:難解なこんな読めないよという仕様書は世の中に沢山あります。ここで活きるのはリーディング力。あとはレポートライティングするところでロジカルシンキングを教えています。
この二つを使ってわからないところを浮き彫りにしていけばいい。
– 実際にGEEK JOBだと自分で考える力という力を重視して、中でもググる力は身につけて欲しいと力を入れているんですが、実際入社された倉田さんと中村さんはいかがでしたか?
岡田:確かにググる力というのは持っているなというのはすごく感じていますね。
自分たちがやっている領域って、ネットから情報を拾ってくる機会がすごくたくさんあるんです。そもそも書籍になっていない技術領域の仕事ですから。だから検索する力ってすごく仕事に直結しているんですけれども、中村さんは比較的自分でググって問題の解決方法を調べてというのをやれています。
倉田君も、何か一人でゴソゴソ調べて「こういうことですよね?」という質問の仕方をしていました。
– そこは僕らは自信を持たせて頂いて大丈夫なんでしょうか(笑)
楠本:そうですね。
質問はないかと最初に声をかけたらちょっと待って下さいと。一旦取り込んでから持ってくるという、こういうやりとりが最初は多くて。気を回さなくてもやっているということが分かったし、ボールを投げておけば返ってくるという安心はありました。
– 最後に、今後エンジニアを目指している方々にメッセージをお願いします!
楠本:エンジニアは2種類、技術でガツンととんがりたい路線と、ビジネスという世界の中で手段としてエンジニアリングをしていく路線があります。
自分はどちらに向いているのかなという意思を持ってくれていると我々もアプローチしやすいし応援しやすいので、自分のカラーを見つけてみてください。
将来的には変わっても全然良い、今時点分かっている自分のロードマップをイメージしてもらえればと思います。
岡田:そもそもエンジニアリングというもの自体が結構広義過ぎて、エンジニアリングは具体的に何をするのというところを結構見えていない人も多いのではないかと思います。例えばうちのような自動車業界も実はエンジニアリングですし、SNSなどのアプリケーションも全部エンジニアリングなんです。
だから、じゃあ自分が結局やりたいことってどの領域なのかということを最初にパチッと決めておくのが一番いいかなと思います。そうしないとエンジニアリングだと言って入ったら全く思っていたのと違うということはすごくよくあることになってしまうので。それを回避するためにも自分がやりたいエンジニアリングって具体的に何だろうというのを考えてみて、それに進んでいくために何が必要なのかということを考えてもらえればと思います。
– お二人とも本日はお忙しい中ありがとうございました!!