世界20数カ国で石油・天然ガスの探鉱、開発、生産プロジェクトを展開している株式会社INPEX。日本国内では国内最大級である南長岡ガス田(新潟県)を中心に石油・天然ガスプロジェクトを進める。
また天然ガスパイプライン及び液化天然ガス受入基地のオペレーションを行うとともに、約1,500kmの天然ガスパイプラインネットワークを保有している。2021年にGROOVE GEARが提供するDX人材育成に特化した法人研修「GEEK JOB Re-Skilling」(以下Re-Skilling)を継続的に導入。

プロフィール(敬称略)
渡邉 貴大 / デジタルトランスフォーメーションG, マネージャー
松本 崇志 / 新分野事業ユニット, コーディネーター
山部 直登 / デジタルトランスフォーメーションG, スタッフ
森本 茜 / デジタルトランスフォーメーションG, スタッフ

DXの第一の壁は「従業員の意識」

–貴社の事業と、デジタルトランスフォーメーションGの役割について教えていただけますか?

山部:
世界各国で石油・天然ガスの探鉱、開発、生産プロジェクトを展開しています。日本国内でも、国内最大級である南長岡ガス田(新潟県)を中心に石油・天然ガスプロジェクトを進めるとともに、天然ガスパイプライン及び液化天然ガス受入基地のオペレーションを行っています。

元々デジタル系人材の割合が少ない組織だったのですが、昨今DXの重要性を感じる中で設置されたのが「デジタルトランスフォーメーションG」であり、組織のDXを進めるための施策を企画・実行する役割を担っています。

–貴社のような大手企業がDXを進める上で、どのような壁を感じていますか?

山部:
DXと一言でいっても対象が広いためそれぞれの領域で課題はありますが、”従業員の意識を変えないとDXは進まない”というのは通底する大きな壁でした。

松本:
特に、デジタル技術に対する世代間の意識の差はあると思っています。若手世代は比較的デジタルスキルや新しい技術に対して意欲的だと感じますが、管理職レベルの方々に関しては「知識やノウハウが社内に無い=外注する」という発想に陥りがちです。

一律に外注が悪いという訳ではありませんが、知識不足の状態ではベンダー企業と対等なコミュニケーションが取れず大きなリスクを抱えることになってしまいます。まずはデジタルに関する知識を身につけ、本質的な理解を進める必要があると感じています。

業務に支障も。デジタル化の遅れがもたらす弊害

–具体的に従業員の意識変革の必要性を感じた場面はありましたか?

山部:
ガスのパイプライン検査を効率よく行うために、ドローンの導入を検討したことがあります。プレスリリースも出し、カナダから検査機器を取り寄せたりベンチャー企業へ出資したりと会社として導入に向けて動き出しました。しかし、実証実験の際に機器がうまく動かなかったというのも重なり、現場からドローン導入に対し反対の声が出てしまいました。

パイプラインが漏れたりでもしたら大きな事故につながるため、事業者が細心の注意を払うのは大事なことです。とはいえそこばかりを重視してしまっては新しい技術を導入することはできません。その経験から、まずは新技術に対する従業員の意識から変える必要があると感じました。

森本:
他にも、昔マクロがすごく得意な人がいたんですけど、その人が辞めてしまって、VBAを誰も改修できないまま放置されたことがありました。上司によってはマクロを使うな、と言う人もいて、社内的にマクロを使ったツールがないという状況になった部署もあったようです。情シスや他のデジタルに詳しい方に対して「こういうことできない?」とお願いするようなことがあっても、実際に自分たちで使ってみよう、作ってみようという意識にはなかなか向かない状態だったと思います。

渡邉:
会社としても色々な施策を検討してきてはいたのですが、中々アクションにつなげられていない状態でした。現状は「段階的なプログラミングスキルの向上」や「デジタル技術に関するリテラシーの向上」の分野でファーストステップを踏み出した段階だと思います。0から1のファーストステップは非常に重要で、そこさえ踏み出せればあとは足し算や掛け算をしてレールに乗せていくことができます。なので、同時並行で少しずつ積み上げいきつつ、まずは意識改革としてDXに関するリテラシーを学んでもらう場を用意していくつもりです。

Re-Skilling導入の決め手は「フレキシブルさ」

–Re-Skillingを導入していただいた決め手はなんでしたか?

山部:
何社か比較検討する中で、直感的に私たちのニーズにマッチした講義を提供してもらえるのではと感じました。最終的には満場一致に近い評価が出たため、Re-Skillingの導入を決めました。
決め手としては、私たちの声をしっかり聞いた上でカリキュラムを作ってもらえそうだというのが大きかったです。現在では第三期の実施もお願いしていますが、これは第一期、第二期を通して期待通りの講座を提供していただけたからこそだと思います。

渡邉:
カリキュラムの中身だけではなく、実施期間についても融通を利かせてもらえたのもありがたかったです。あとはコスト面も考慮した結果、Re-Skillingに決めました。

–具体的にどのような点でフレキシビリティを感じていただけましたか?

山部:
受講者のフィードバックを受けて、研修直前まで資料をアップデートしてもらったことなどですかね。あとは、弊社側の要望に応える形で、講師へ質疑応答ができる「自習ルーム」を設置してもらえたのも助かりました。あれがあったからこそ、受講者全員がキャッチアップできる仕組みが作れたと思います。

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■INPEX様にて実施したRe-Skilling概要
目的:社内メンバーの意識改革
対象:事務仕事をメインとする自社社員
内容:
通常業務を効率化するデジタルノウハウを習得し、社員が普段行っているエクセル比率の高い業務をVBAに変換することでオペレーション改善を現場でできるようになることを目指す。
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業務改善を自発的に行う組織へ。Re-Skillingで起きた変化

–Re-Skillingを受講した前後で、組織に変化を感じた点はありますか?受講生として講義に参加された森本さんに伺えればと思います。

森本:
私自身は元々DXやデジタル技術に対する関心は強かったものの、何から始めたらいいかわからない状態でした。同じような思いを持っている社員は他にもたくさんいたと思います。そんな中でRe-Skillingをが開催されると知り、受講を決めました。

講義を受け始めた直後は、初めての知識がたくさん入ってくるので追いつけるか毎回不安になっていました(笑)ただ、資料を見返しながら自分で開発をし始めてからは不安はなくなりました。無意識に心理的ハードルを上げている部分があったんだと思います。

山部:
森本は第一期で受講生として参加しましたが、今では運営側として受講生に教える立場にまでなりました。まさしくラーニング・ピラミッドでいう「講義を受けた段階での定着率は5%。人に教えることで90%まで向上する。」というのを体現した例だと思います。

森本:
日頃の業務においても、自然と改善点が目につくようになりました。例えば、今までなんの気無しに使っていたエクセルのフォーマットについても「ここをもう少し改善したら、もっと便利に使えるじゃん」という気づきがあったり。DXは道具やソフトウェアを使わないと実現できないものだと思っていましたが、Re-Skillingを通じて業務改善に繋がったことで、ちょっとしたことでもDXになるんだなと感じることができました。

他の受講者からも同様の意見をもらっています。お子さんをお持ちで時間にどうしても制限ができてしまう方も、VBAを使うことで仕事が効率化でき自分の時間が持てるようになったと言っていました。

組織の成長度合いに応じて、変化を続けるRe-Skillingのカリキュラム

–研修をより良くするために、どんな要素が必要だと思いますか?

山部:
引き続き、型にはまったものではなく受講者の様子を見ながら工夫していただけたらと思います。一点挙げるとすれば、現状「業務時間内で3時間」という制限の中でコースを受講してもらっているため、時間内に課題を全て終わらせるのが難しい人も出てきていることですかね。その点は今後GROOVE GEARと一緒に模索していけるといいなと思います。

渡邉:
実践的な課題が多いことにポジティブな意見がある一方で、進め方について悩んでいる方もいると思います。どうしてもできる人とできない人の差が出てきてしまう。改善策として、例えば3~4人で会話できる場を用意して疑問点を共有する時間を作ってもいいのかもしれません。

森本:
あとは、受講者同士や講師との距離を縮める意味でも、初回はオフラインで行うのもありかなと思います。

–ご意見ありがとうございます!今後の運営に活用させていただきますので、引き続きよろしくお願いいたします。

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