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ノーベル賞受賞者が提唱する理論に基づくアルゴリズムを利用した、全自動のおまかせ資産運用サービス「WealthNavi」を運営するウェルスナビ株式会社

今回は、グリーで執行役員、LITALICOで執行役員CTOを経て現在同社でCPO(最高プロダクト責任者)を務める岸田 崇志(きしだ たかし)氏へ、同社の魅力や、求める人材についてお話を伺ってきました。

WealthNaviとは

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– 最初に御社の運営するサービス、WealthNaviについてどんなものなのか聞いても良いでしょうか?

ざっくりと言えば、資産運用をより身近にするためのサービスです。

資産運用と聞くと「なんだか難しい」「どうやればいいか不安」など少しハードルが高いイメージをもつ方が多いかと思います。

ですが、WealthNaviは多くの方が持っているスマートフォンを使って、手元で簡単に資産運用が出来るようなサービスになっています。

– 確かに僕自身20代ですが、自分が資産運用をするイメージというのはまだ湧いていないです

そうですよね。

とはいえ、20代の方にとって無関係な話では全くありません。

今後は日本人の寿命も伸びて老後のライフスタイルが大きく変わる可能性が大きいと言われています。

それに加えて、退職金制度が無い企業も増えてきていますし、少子高齢化が進む中で老後の生活を考えた時に我々の世代は不確定な要素も多いですよね。

– そうですね。それはすごく不安です

これからの数十年は時代の変化が大きいため、若い方や今まさに働き盛りの方にとって将来の不安って結構大きいと思うんです。

そういった課題をWealthNaviで解決できればと思っていて「じゃあ結局どうすれば良いんだ」と悩んでいる方に対して、わかりやすく解を提供してあげられるサービスにしていければいいなと考えて開発・運営しています。

現在について

– その中で岸田さまは現在どんなことをされているのでしょうか?

私はCPOという立場で入社したので、簡単に言えばプロダクトマネージャーに近い役割です。

プロダクトマネージャーを簡単に説明すると、プロダクトの課題を分析して、3ヶ月、半年、1年といったスパンの成長軸を描き、ユーザーさんが使いやすくなるように各施策に落とし込んでいく形です。

– 手を動かすというよりは、施策を考えることがメインになるのでしょうか?

そうですね。ウェルスナビではコードを書く量は減りましたが、施策をきちんと伝えるためにUIやワイヤーを書いたり、コアのアルゴリズムを検討したりなどはしています。

スタートアップは日進月歩の世界なので、いかに早く精度の高い施策を打ち一歩先を行くかが勝負の分かれ目になります。

そのためにより多くのアイデアを出して、早いサイクルで回していくというのに多くの時間を割いています。

なぜウェルスナビへ?

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– 岸田さまはもともとLITALICOにいらっしゃったんですよね。なぜウェルスナビに移ってきたのでしょうか?

もう少し遡ってお話をさせていただくんですが、私はLITALICOの前にグリーというゲームの会社にいました。

そこでゲームというエンタメにエンジニアリングやテクノロジーを投入するという仕事をしているうちに、もっとテクノロジーを使って社会の課題を解決したいと思うようになりました。

その中で、今X-Tech(クロステック)と呼ばれている、例えば福祉×テクノロジーのような社会課題を解決していくことに学んだ技術やノウハウを活かすことをライフテーマにしていきたいと思い、就労支援や教育事業を運営するLITALICOに入社しました。

– グリーも素敵な会社だと思いますが、そういった理由でLITALICOへ移られていたんですね

そうです。

そこから、LITALICOで福祉×テクノロジーという事業に長く関わっていくなかで、福祉の問題ってとても複合的な課題が多いと思いました。一方で、お金に起因するものも多いんだなということがわかりました。

それを踏まえて社会をよく見ると、福祉以外にも貧困や医療など多くの社会課題の根本はお金に起因することが多いと感じたんです。

もっと個人のレベルまで分解していくと、それこそ老後の資金や進学するためのお金、子供を育てるためのお金に対する不安や課題が多いので、そういった社会課題を解決したいと思い、ウェルスナビへ入社しました。

エンジニアを目指した理由は?

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– 岸田さまはもともとエンジニアをされていたと思うんですけれど、そもそもなぜエンジニアになろうと思ったのでしょうか?

1995年ですね。インターネット元年と呼ばれていた時代でした。そんな時代でしたので、電気工学や電子工学などにあまり興味が持てず、コンピューターサイエンスの学位を取得できる広島の大学に進学をしました。

大学に進学した頃、渋谷はビットバレーと呼ばれていて、渋谷にITベンチャーが続々と集まっていたんですね。

その様子がWebなどで流れてきて、すごい勢いで時代が変わってきているのを感じていました。

それを見ているうちに、自分は世の中が変わっていく節目のすごくいいタイミングで生まれたのではないかと思い、それならば飛び込まない手はないと考えてエンジニアを目指すようになりました。当時はPerlでしたが、個人で検索エンジンの開発など企業からの案件を受けたりしていましたね。

– その頃はまだメジャーな職種でもなかった?

そうですね。親からも凄く反対されました(笑)

「もっと手堅い仕事に就け」と言われてましたね。

– 今ではすごく手堅い職種ですよね

本当ですよね。

昔はちょっと恥ずかしいくらいに思うこともあったんですが、時代が変わったんだなというのを実感しています(笑)

学生さんであっても本気で取り組めばサービスを作って成功するケースも増えてきましたし、いい時代なったなあと思います。

チームとして成果物を世に残す喜び

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– エンジニアとして喜びを感じるのはどういった時でしょうか?現在はCPOという立場かと思いますが、当時を振り返っていただければ

もちろん自分たちが作ったサービスをリリースした時は嬉しいですよね。

リリースしたサービスを友人や家族が使ってくれたり、ふと電車などで誰かが使って頂いているのを見た時はすごく嬉しいです。

– そうですよね。リリースしたものを誰かが使っているというのは絶対に嬉しい

ただ一方で、それは一過性の喜びだとは思っています。

一瞬の喜びとしては大きいんですが、あとになって振り返ってみるとそのサービスを作る過程そのものが喜びだったなと思うんです。

– どういうことでしょうか?

当然良いサービスを作ることは前提にあるのですが、良いサービスを作るためには良いチームが必要と考えると、成功するサービスをチームで作るっていう過程そのものが重要でしたし、楽しかったんです。

文化祭のノリと言ったら変ですけど、みんなで試行錯誤して色んな苦境を乗り越えながら小さな成果を出したり、バグを直したり、そういう過程に一喜一憂する一体感のなかでいいチームを作ることが一番の喜びだったなと。

ウェルスナビに入社した理由としても、かつてそういう苦楽をともにしたメンバーともう一度働きたいという思いもありました。

– かつて一緒に働いたメンバーがいらっしゃるんですね!

グリーの頃のメンバーがいます。

チームの試行錯誤って本当に楽しくて、自分たちがスキルを上げないとサービスが成長しないというプレッシャーも楽しいですし、そうやってみんなで作り上げたものが世に残るのはエンジニアやクリエイターならではの喜びだと思います。

100万人に専門知識を届けられる魅力

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– 次に、会社としてのウェルスナビの魅力をお聞きしたいと思います

私自身、WealthNaviというプロダクトが非常に面白いと思い入社しました。

資産運用と聞くと難しく聞こえるかもしれませんが、一見難しく見えるものとスマートフォンアプリってすごく相性がいいんです。

– というと?

資産運用について詳しい人に聞こうと思っても周りにいないことがほとんどじゃないですか。でもアプリを通じてならいつでも情報を得ることが出来る。

現在、社長の柴山がセミナーを行っていますが、誰かに説明しようとしても、直接会って話そうとしたら1年でせいぜい1000人くらいなんですね。

それが、アプリを通せば100万人に届けることも出来る。

資産運用のロジックはCEOの柴山が考えたものですが、柴山に会わなくても実際に資産運用をしながらそのノウハウを得ることが出来るわけです。

優れたノウハウを手軽に大勢に届けることができるというのはテクノロジーのよい活用事例だと思いますし、とても面白いと思いますね。

– 確かに、多くの人が利益を享受できるのは非常に面白いです。次に組織としての魅力をお聞きしてもよいでしょうか?

僕はまだ入社してそこまで長いわけではないですが、エンジニアはもちろん、ワンチームの中にデザイナーやプランナーがいるので垣根がない。

これによって改善の提案や意思決定のスピードが非常に早いのは魅力だと思っています。

あとは、社員の半分がエンジニアということもあり、エンジニアが事業をリードしている感覚はあります。

ここは、エンジニアにとって魅力的なポイントかなと思います。

エンジニアに向いている人とは

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– 岸田さんの思う、エンジニアに向いている人ってどんな人だと思いますか?

何かしら表現したい人が向いているのかなと思います。

LITALICO時代に子供向けのプログラミング教室をやったことがあるんですが、そこで感じたのが、子どもたちの「何かを発信したい、表現したい」というエネルギーがすごいということ。

そして、そういう子ってすごく伸びるんですよね。

それは大人も一緒で、プログラミングも何かを創り出す手段でしかないので「何かを表現したい」という目的志向で取り組める人は良いと思いますね。

– プログラミング自体というより、目的が先行する人が向いている?

サービスづくりに向いている人だと思います。

もちろん、作ること自体が好きという技術志向の人も素晴らしいです。

やっぱり、サービスを作る上ではいろいろな技術が必要になってきますし、非常にレベルの高いものを要求されることもあります。

大きなサービスになるとひとりで全ての技術を自分で突き詰めることはできないので、技術志向の人が身につけている突出したスキルも必要になってくる。

サービスを作る上ではこの2タイプの人が同じチームにいることが結構重要なんじゃないかと考えていて、お互いの強みを活かし合いながら作り上げていくことで、良いものが出来るんだと思います。

身近な問題から取り組んでみる

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– 最後の質問になるのですが、これからプログラミングを勉強しよう、エンジニアになろうと考えている方へ、今すぐ始められるアクションを一つ教えていただければと思います

僕らは社会課題や資産運用と言った比較的大きな課題に対してサービスを作っていますが、これから何か始めるというのであれば身近な課題を見つけることから始めると良いと思います。

お母さんや友達といった、自分ごととして考えやすい人たちの悩みや課題をプログラムで解決してみるというものですね。

– プログラミングの基礎みたいな本からやり始めるというよりは、何すればいいかを先に見つけたほうがいい?

そうですね。自分自身が不便に思うことでもいいと思います。面倒な作業を自動化してみるだけでも良いです。

FacebookやDropboxだって最初はちょっとしたきっかけから始まったものですし、解決したい課題に大きいも小さいも無いと思うんですよね。

何か作って、触ってもらって、フィードバックを貰う。

この流れはプロダクトの基本で、個人で作ったものでも会社で作ったものでも変わらないので、まずはそれを感じてもらえると良いと思います。

– ありがとうございました!

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